2026年1月27日

2026年(令和8年)4月の改正医療法施行により、都市部でのクリニック開業を取り巻く環境は劇的に変化しようとしています。
具体的には、厚生労働省が医師の偏在を是正するために「外来医師過多区域(仮称)」を指定し、新規開業者に対して地域貢献を求める仕組みが導入されます。
しかし、これはこれから開業準備を進める先生方にとって、避けては通れない重大な課題です。本記事では、厚労省の最新資料に基づき、具体的な規制エリアやペナルティについて詳しく解説します。
1. 規制対象となる「外来医師過多区域」とは?
まず、規制の対象となるエリアについて確認しましょう。「外来医師過多区域」とは、「外来医師偏在指標」が全国平均と比較して著しく高い地域のことを指します。
例えば、最新の試算において、以下の要件を満たす地域が対象候補として挙げられています。
📍 指定候補となっている9つの二次医療圏
- 東京都:区中央部、区西部、区西南部、区南部、区西北部
- 京都府:京都・乙訓
- 大阪府:大阪市
- 兵庫県:神戸
- 福岡県:福岡・糸島
※上記は現時点での候補であり、2026年4月の施行に合わせて最終決定されます。
したがって、これらの人気エリアで開業を検討されている場合は、従来のスケジュール感では対応できない可能性が高いため、特に注意が必要です。
2. 必須となる「6か月前の事前届出」とフロー
次に、実際の手続きの流れについて見ていきましょう。対象区域で診療所を新規開設する場合、開設の6か月前までに都道府県知事への届出が義務化されます。
届出を行った後のプロセスは、以下のように進行します。
- 【届出】地域で不足する医療機能を担う意向があるか申告
- 【協議】意向がない場合、地域の協議の場へ参加し理由を説明
- 【要請】正当な理由がない場合、知事から公的医療の提供を要請
- 【勧告・公表】要請に従わない場合、勧告および病院名の公表
また、事業承継等のやむを得ない事情がある場合は、届出期限の猶予措置が設けられています。ただし、承継後には同様の協議・要請プロセスが適用されるため、免除されるわけではありません。
3. 地域から「要請」される具体的な医療機能
では、具体的にどのような貢献が求められるのでしょうか。「不足する医療機能」の内容は地域の実情に応じて異なりますが、主に以下のような役割が想定されています。
- 初期救急・夜間休日対応:
在宅当番医への参加や、夜間休日急患センターへの出務など。 - 公衆衛生・学校医:
予防接種対応、産業医、学校医の引き受けなど。 - 医師少数区域への支援:
近隣や県外の医師不足地域への定期的な診療応援(代診派遣など)。
つまり、単にクリニックを開設するだけでなく、地域医療のエコシステムに「どう参加するか」を具体的に問われることになるのです。
4. 要請に従わない場合の「経済的ペナルティ」
今回の改正で最も注意すべき点は、要請・勧告に従わない場合に課される実質的な不利益措置(ディスインセンティブ)です。
保険医療機関の指定期間短縮
通常であれば「6年間」である保険医療機関の更新期間が、要請に応じない場合は「3年以内(例:1年更新など)」に短縮されます。
これにより、以下のような経営リスクが発生する可能性があります。
- 頻繁な更新手続きによる事務負担の増大
- 「行政指導を受けた医療機関」として公表されることによる信用の低下
- 金融機関からの融資審査への悪影響
開業準備のご相談はこちら
当事務所では、医療法改正に対応した開業スケジュールのアドバイスを行っています。
まとめ:2026年以降の開業は早期の準備を
今回の規制強化は「開業禁止」を意味するものではありません。しかし、地域医療への貢献がこれまで以上に強く求められることになるのは間違いありません。
特に候補地(東京・大阪・福岡など)での開業を検討されている先生は、以下の対応が必要です。
✅ 開業予定地が「外来医師過多区域」に含まれるか確認する
✅ 「6か月前届出」に間に合うよう、物件選定や融資計画を前倒しする
✅ 自院で対応可能な「地域貢献(夜間対応等)」をあらかじめ検討しておく